2018年1月31日水曜日

「薪スト-ブのメリット・デメリット②」

次に、デメリットについてです。

 本場ヨーロッパや北米の製品は高価です。さらに煙突工事や床、壁の防火対策に本体と同じくらいかそれ以上にお金がかかります。安く済ませようとして石油ストーブの煙突を転用したところ、危うく火災になりそうになったという話も聞いたことがあります。また、煙突に曲がりや横引きができてしまう場合は、うまく燃えないこともあり、煙突掃除の頻度も増えることになります。
灰は頻繁に捨てる必要があります。役所のごみ収集には出せないので、捨て場所も考える必要があるでしょう。一度設置したら動かせませんし、夏も場所をとります。

しかし、何と言っても薪の入手がカギになります。販売、施工した業者で用意してくれれば良いのですが、なかなか安定的に供給するのは難しいようです。薪の入手方法によっては燃料代が安くも高くもなります。安く入手するには、基本的に自分で薪運び、切断と薪割り、薪積みの作業をすることを覚悟しなければなりません。薪の保管が悪いとシロアリの巣になってしまいます。




 薪を家の中に運び込むときは、ゴミやほこりだけでなく、冬眠中のゴキブリやムカデがくっついてくる場合もあります。トゲが刺さるし、ススで手が黒くなるし、やけどにも注意が必要です。服が汚れるので、普段着は作業服かアウトドアっぽい服にならざるを得ません。
慣れれば着火はさほど難しくないといっても、ボタンひとつというわけにはいきません。タイマー運転もできません。部屋全体を暖めるのには少し時間がかかるし、火力の調節や薪の焚べ足しはもちろん手動です。
 一昔前の生活のように、常に手間と注意が必要になります。したがって家族全員が扱えるとは限りません。苦手な人もいるでしょう。得意な人が病気するとみんなが困ってしまいます。




薪ストーブをメインで使う場合は、いざという時のためにバックアップの暖房が必要だと思います。また、薪ストーブに代わるものとして、灯油の鋳物ストーブやペレットストーブをお使いの方もいらっしゃいます。
 以上、メリットはそのままデメリットでもあると言えます。そして、そのどちらも大きいのが薪ストーブの特徴です。それでも手間と注意を楽しめる個性と環境条件が揃えば、お勧めしたいアイテムです。
                         
                         住宅設計士 中島桂一